神仏霊場124 京都44番



♦周囲の札所♦

平等院まで徒歩20分。また、近くのバス停からJR奈良線の黄檗駅まで出て桃山駅から徒歩15分で御香宮神社に。

圧倒的な迫力本堂、そして小ぶりで可憐とも形容できそうな三重塔、そして宇治の町を一望できる境内からの眺め。そして花の季節。三室戸寺はみどころの本当に多く、季節ごとに異なった魅力を見せるため、季節を変えて再訪したくなる寺院です。

 その山門の先の石段を登りつめると、本堂が見えてきます。三室戸寺は小高い山の中腹にあり、この石段から振り返ると、木々と宇治の町を一望できる素晴らしい景色を堪能できます。

 本堂までの短い道の両脇には蓮の花の鉢が並んでいます。残念ながら季節が違うため花を堪能することはできませんでしたが、その鉢の数を見ただけでも、花ざかりの頃の美しさは想像できます。蓮の花はありませんが、芝生や木々は丁寧に手入れされています。

 本堂内には入ることはできませんが、さすが古刹、本堂は堂々たる構えに圧倒されます。参拝者も後を絶ちません。

 本堂の向かって右側にも宇堂が立ち並んでいます。

 まず手前に見えるのが阿弥陀堂、そしてその奥には鐘楼が見えます。いずれもこ本堂と同様、江戸時代に再建されたもので、こじんまりとしたものです。そしてさらにその奥に見える三重塔は、もともと兵庫県佐用町の高蔵寺にあったものを明治時代に買い取ったものだといいます。室生寺の三重塔と同様、非常にコンパクトな塔ですが、周りの風景とのバランスも含め、とても美しいです。

 本堂の奥には鎮守社である十八神社があります。室町時代の建築だといい、傷みも見受けられますが、歴史を感じさせる社殿です。

 ひと通り境内を歩き終わった後、納経所で御朱印をいただきます。大悲殿の御朱印のほか、浮舟の御朱印をいただくことも出来ます。

 ほかの三十三所霊場と同様、巡拝者が後を納経所に列をなしています。書き手の方も、大悲殿で書き慣れすぎているせいか、浮舟の御朱印をお願いしたところ、大悲殿と書かれ、「あ、しまった」といわれ、次のページに改めて浮舟の御朱印を頂きました。

 その三重塔のすぐ近くに、「浮舟の石碑」があります。

 源氏物語の宇治十帖にちなみ、宇治には古くから「宇治十帖の古跡」が設けられていましたが、この三室戸寺もそのひとつ。三室戸寺の公式サイトによると、三室戸寺を参考に、宇治十帖に登場する僧が描かれたのではないか、また、光源氏の異母弟の八宮の山荘からかすかに聞こえる鐘の音も三室戸寺のものではないかとのことです。

 そして三室戸寺といえば忘れてならないのが美しい庭園です。梅雨のころにはあじさいが咲き誇る庭園も、この季節は落ち着いた雰囲気です。

 庭園をゆっくり歩いて、境内を後にし、駅前のバス停に向かいます。黄檗駅行きのバスは1時間に1本もあるかないか本数も少ないですが、タイミングが合えばこれに乗り、黄檗公園前で降りて、萬福寺を参拝し、JR黄檗駅から桃山駅に出て神仏霊場の札所である御香宮神社に向かうコースがおすすめです。萬福寺の巨大な伽藍の数々は特に必見です。