岡山県との県境にほど近い兵庫県佐用町には、高野山別格本山で新西国三十三所霊場の札所でもある名刹、瑠璃寺があります。姫路駅からバスを乗り継いで約2時間の山間にあり、境内を抜けると、野生のニホンザルを餌付けした船越山モンキーパークがあります。趣ある立派な伽藍に加え、豊かな自然、そして奥の院まで歩けば、ちょっとした登山気分も楽しめる、ぜひ一度は訪れていただきたいお寺です。交通の便は決して良くはないですが、それでも訪れる価値があります。
日常から少し離れ、ゆっくりと心を落ち着けるにはピッタリです。
名刹でお猿と戯れる・船越山南光坊瑠璃寺
12/06/09
アクセス
瑠璃寺へ公共交通機関で行く際にはバスを利用することになります。大阪からであれば、JR神戸線で姫路駅まで出て、北口のバス停から山崎バス停まで約1時間、そこで千種・西河内行バスで30分の船越バス停で下車します。または大阪駅から高速バスで約2時間山崎インターで下車して、山崎バス停まで約10分歩き路線バスに乗り換える、という行き方もあります。乗り換えの時間や料金を考えると、高速バス利用が便利です。
ただし、高速バスは渋滞などで遅れることもよくあります。僕が乗った日は、大阪を出てしばらくしたあたりで渋滞にはまり、山崎インターには20分程遅れて到着しました。時間通り到着していれば山崎バス停発のバスまで30分ほど時間があったのですが、本当にギリギリになってしましました。なお、山崎インターから山崎バス停までは特に案内もないのであらかじめコースを調べておいたほうがよいです。右の地図Aが山崎インター、Bが山崎バス停です。
山崎バス停は、ベンチに手作りの座布団がしいてあり、非常にノスタルジックな雰囲気のする、素敵なバス停です。
山崎から瑠璃寺の最寄バス停の船越までは、誰も乗り込んでこず、のどかな風景を眺めながらバスを独り占めしていました。経営的には非常に苦しい路線だと思いますが、ぜひ残ってほしい…。
瑠璃寺
船越バス停を過ぎると、すぐに大きなポップな絵柄の絵馬が目に入ります。さらに仁王門、杉の木が立ち並び、古い巨大絵馬が並んでいる参道を10分ほど進むと、本坊に到着します。
御朱印は本堂と奥の院参拝後にいただこうと思い、そのまま本坊脇を抜けて、護摩堂、聖天堂にお参りをして、本堂に向かいます。
なお佐用町は2009年に台風による豪雨の被害を受け、この瑠璃寺も大きな被害を受けたといいます。3年近くたった今でも、境内の至る所にその跡が残っています。あまり人の訪れない、ライフラインにも直接関係ないところの復旧ということで遅れているのでしょうか。
本坊から5分ほど歩くと本堂に到着します。誰もいない、本当に静かな空間が広がります。鮮やかな青もみじと歴史を感じさせる本堂、そしてその隣に並ぶ鐘楼と開山堂が日常を忘れさせてくれます。
船越山モンキーパーク
本堂から10分ほど、小川沿いに少し急な坂を歩いて行くと、モンキーパークがあります。途中には豪雨の被害が痛々しく残っています。
ちょうど子育ての季節だったようで、子ザルを抱きかかえた姿をよく見かけました。もともとは野生の猿ですが、餌付けされており人間を恐れる様子はありません。
ただ1匹だけ、カメラを向けると威嚇してくる猿がいましたが、ほとんどは近くまで寄って写真を取ることもできます。
瑠璃寺・奥の院
モンキーパークを出て、来た道を少し戻ると奥の院への登山口があります。
てっきり立入禁止だと思い、諦めて帰ろうとしましたが、近くで工事中の作業員の方にネットをくぐって登ったらいいと教えていただきました。奥の院にはぜひとも行きたかったので、運がよかったです。
案内板には奥の院までは約20分と書かれていました。時間的にはそれぐらいですが、登りは本当にキツかった。久しぶりの山歩きということもあり、すぐに息が上がってしまいました。
道は最初の方は綺麗に整っていたのですが、少し歩くとかなり足元が悪くなり、注意が必要です。そして傾斜もそこそこありしんどいです。
ちょうど真ん中ぐらいに休憩所があります。
休み休み歩いたので、20分以上かかった頃、上を見上げると奥の院が見えてきました。奥の院の少し手前には「延齢水の井戸」が汲んだ水は非常に冷たかったのですが、前日に雨が降ったせいか、濁っていたので飲むのは諦めました。そしていよいよ奥の院到着です。
普段人が来ないため、奥の院の扉は閉じていますが、閂を外して自分で開けて中に入ることができます(帰るときは必ず閉めてくださいという注意書きあり)。
真っ暗な堂内に一人で座っていると、本当に時間を忘れてしまいます。
奥の院のあたりからは遠くまで続く山々を眺めることができます。しんどかったからこそ、感動も大きいです。
下山して本坊で御朱印をお願いします。チャイムを鳴らすと小学生ぐらいの男の子が出てきました。御朱印を頂きたい旨伝えると、元気に「分かりました!少しお待ち下さい!」と住職?を呼びに。なんだかとても気持ちよかったです。
御朱印をいただいた頃で、行きのバスを降りて2時間15分ほど経過。ゆっくりと参道を戻りながらバス停に向かいました。
本当に大満足の参拝でした。大阪方面からなら車であっても、公共交通機関をつかっても、かなり時間がかかる場所にありますが、ぜひ訪れて、せっかくなら奥の院まで足を伸ばしていただきたいです。